哀しき野良犬

翌日、俺は退職届けを持って事務所を訪れた。
修理工場のほうでは長坂先輩たちがいつものように仕事をしていた。

「どうしても辞めちまうのか?」

社長が悲しそうな顔をした。
思わず俺の決意が挫けそうになる。

「迷惑ばっか掛けて、ホント、スミマセンでした」

「働く宛てはあるのか?」

「大丈夫です」

「俺は兄さんのことなら本当に気にしちゃいない。宛てがないなら此処にいて全然構わな
いんだぞ」

「ありがとうございます。でも・・・・お世話になりました」

俺は深々と頭を下げた。

「そうか」

社長は渋い顔のまま机の引き出しから封筒を取り出して俺にくれた。

「少ないが退職金の代わりだ」