哀しき野良犬

「派出所のほうからこうして連絡が入っている」

あとから入って来た刑事が俺の顔に書類を突きつけた。
自転車のことで押し問答した警察官のことだろうか。
振り払った俺の手が警察官に当たった記憶はある。
それを殴ったと言われるなんて、思ってもみなかった。

「兄さんのことでヤケになってんじゃないのか?」

刑事は兄のことを持ち出して来た。俺の頭にカッと血が昇った。

「兄貴のことは関係ねえよ!」

「だったらやっぱり報復だ」

「決め付けるな!」

「なんだ、その口の利き方は?」

「だから俺は・・・・・・・・・」

「その態度。その服装。その目つき。どれを取ってもオマエは暴走族だ。いいかげん認め
ろ、稲妻の副総長、一条修平!」

「そうかよ。そんなに暴走族に戻って欲しいのかよ? だったらいつでも戻ってやる!」

「なんだ、その態度は!」

「そうすりゃアンタは満足なんだろ? 希望通り暴れてやるよ!」

言った瞬間、背後から腕を掴まれた。
振り返ると秦野警部がいた。
そして頬を平手で殴られた。