哀しき野良犬

人はもう殴らない。
と決めたはずだったのに、気が付いたら俺は片桐の顔を殴っていた。
おとなしく殴られている片桐ではないので、俺たちはレジの前で殴り合いの喧嘩になった。

ほかの客から悲鳴が上がり、店の非常ブザーが鳴った。

すぐに警察官が駆け付け、俺たちはパトカーに押し込まれて警察署に連行された。

別々の部屋に通され、俺の部屋には見たことのない若い刑事が入って来た。

「名前と保護者の連絡先、学校名、所属グループを言え」

「一条修平。身内はいません。学校も行ってません。所属グループもありません」

「一条修平? 喧嘩の常習犯か」

「過去です」

刑事は書類と俺の顔を何度も見比べ、俺が過去に所属していた暴走族の名前を挙げた。

「以前はそうだったけど、今は違います」

「そうは見えんが?」

「はあ?」