哀しき野良犬

身体を売る女にもいろいろなタイプがいる。

俺は暴走族だったせいもあり、俺の周囲にいた女たちはみんな金欲しさに自分からすすんで身体を売っていた。
彼女たちは売春という言葉は使わず、援助交際と言っていた。
身体を開くことを何とも思っていないような女ばかりだった。


1時間ほどして幸恵が出て来た。
辛そうな顔をしているわけでもないし、いたって普通の姿だった。
喫茶店でアルバイトをする感覚と同じなのかも知れない。
金のためなら手段を選ばない。
なぜだか分からないが俺は勝手に幸恵に幻滅した。

「なんでラクして金を稼ごうとするんだよ」

思わず余計なことを言ってしまった。
幸恵は、なんでアンタが此処にいるの? 
みたいな顔をしたあと、俺のことを睨み付けた。

かと思うと俺は幸恵に平手打ちを喰らった。