哀しき野良犬

ほどなくして幸恵が一人で出て来た。
ここで俺が声を掛けるのもバツが悪いので、俺は暫らく幸恵を尾行した。

足はイヤな方角へ向いていた。
この先はホテル街だ。

幸恵は何の躊躇いもなく、とあるホテルの中へと消えて行った。
と言うことは、恐らく売春だろう。

幸恵が身体を売っている。
信じられなかった。
外見はとても清楚で明るい、どこにでもいる女の子だ。
遊び慣れているとも思えなかったし、兄貴だって真面目を絵に描いたような男だった。

やはり借金のせいだろうか。

俺は幸恵がホテルから出て来るのを待った。