哀しき野良犬

先輩はそう前置きをして、今朝早く、事務所に投石され、資材の一部が燃やされたことを話してくれた。
そしてそれが俺に対する嫌がらせだとも。

「社長はオマエには黙ってろと言ったんだけど」

先輩は同じ台詞を繰り返した。

「俺に、此処を辞めろってことですね」

「オマエを恨んで言ってるんじゃないんだ。俺はオマエのことを本当の弟のように思って
るし・・・だけど、俺は社長のこともオマエと同じくらい好きなんだよ」

「分かってます」

「社長はオマエには絶対に何も言って来ないと思う。だから」

「分かりました。俺も社長に迷惑は掛けたくないし」

「悪いな修平。辛いときに」