哀しき野良犬

「殺人犯が俺らに抵抗してんじゃねえよ」

若造が言った。
確かに言った。
俺のことを殺人犯と。

「誰が殺人犯だよ! ふざけるなっ!」

「殺人犯も、殺人犯の身内も、みんな同じなんだよ! 恥を知れ! でっかい面して生き
てんじゃねえよ!」

「俺は何もしてねえよ。俺には関係ねえだろ!」

「うるせえよ! 何でもねえ顔して普通に生きてんじゃねえよ。ムカつくんだよ畜生!」

男が殴り掛かって来た。
あまりの理不尽な言われ方に血が昇り、不覚にもまともにパンチを喰らってしまった。