哀しき野良犬

タバコの自動販売機をみつけ、金を入れた。
だけどタスポを持っていないのでタバコは出て来ない。
自動販売機にまで、ここで足を踏み外すなと言われているようで、思わず苦笑した。

「子供がタバコなんか買っちゃいけないよ」

俺が自販機に金を入れたところを見ていたのか、知らない男が俺に声を掛けて来た。
知らない男と言っても10人ほどの集団だ。
しかも俺と大して年の違わない若造たちだった。

俺は無視して歩き出した。
深夜に繁華街でつるんでいる連中なんてロクな人間ではない。

「おいおい、無視かよ」

若造たちはしつこく付きまとって来た。