哀しき野良犬

コンビニでは母の大好きだった苺大福と、俺が今から喰うためのカップラーメンを買った。
わざわざ遠くまで足を運んだのに、買い物を終えて店を出ると、近所のオバチャンとバッタリ遭遇してしまった。

「お母さん、亡くなったんだって?」

気の毒に、と続くかと思い、俺がしおらしく頷くと、「ラクな選択をして、無責任なお
母さんね」 と言われた。
頭をハンマーでぶん殴られた思いだった。

母はラクになろうと思って自殺したわけではない。
被害者に申し訳なくて自らの命で償ったのだ。

俺はそう思いたい。

って言うか、死んだ人間を責めないで欲しい。

俺は何も答える気になれず、黙ってその場を離れた。