哀しき野良犬

警察署での所見が終わると、母の遺体をそのまま火葬場に運び、俺と秦野さんで母を見送った。
骨になった母を見たときの秦野さんの顔がせつなくて、俺は初めて涙が込み上げて来た。

そんな俺を秦野さんは黙って抱き締めてくれた。
こんなに他人を心強いと思ったことは今まで一度もなかった。

絶対に秦野さんを裏切ってはいけない。

秦野さんの好意に報いるために、俺は真面目にしっかりと生きて行かねばならない。
秦野さんと約束をして、俺は遺骨を抱えて自宅に帰った。