哀しき野良犬

「修平さんも暴走族なんでしょ? お兄さんと共犯ってことは?」

「はあ? バカ言うな!」

俺はマスコミを掻き分け、母を庇いながら部屋に入った。
母は涙を流し、とても正常な状態ではなかった。
母を部屋の中央に座らせ、とりあえず水を飲ませた。

裏側の窓が音を立てたかと思うと、ガラスがパシャンと割れた。
外から誰かが小石を投げたようだ。

「何すんだよ!」

窓を開けて外を覗くと、一般人が沢山いて、こちらに向かって 「殺人鬼」 「強姦魔」 「とっとと死刑になっちまえ!」 などという怒声が飛んで来た。
俺は勢いよく窓を閉めた。
すると割れた窓ガラスが振動で崩れ落ち、俺の指から血が流れた。

「畜生!」

抑えようのない怒りが込み上げて来る。