「へぇ、槙さんは読書が趣味なんですね? 俺も本を読むのが好きなんですよ。
特に注目している作家がいて...」


「私もあの作風は好きです! 面白いですよね?」



誰だ、アイツ?


このクラスの奴じゃねぇよな...


俺はエミリーと楽しそうに話す男をまじまじと見ていた。


黒く下ろされた髪型、シルバーフレームの眼鏡...


見た感じ、いかにも真面目くんっぽい。



「あっ、次席くんが来てる! 自分の教室にいる事ばっかなのに珍しー」



今朝もいつもと変わりなく、登校してきた愛梨ちゃんが俺の席の前に座る。


それよりも...



「次席くんって誰? 変わったあだ名だね?」


「えっ、次席くんのこと知らないの?! ほら、槙ちゃんと話してる男子だよ!」