「おはよう、望叶」



「未白、今日は随分と早いのね」



教室に入り、自分の席に着くと後ろから掛かる声。
朝っぱらから、入室するだけで注目の的になってしまうような私に
気軽に挨拶をする輩が一人。



中学生の時からかれこれ、四年ほどの仲にあるその女子の机の上にはメイク道具がバラバラと並べられている。


いつも遅刻ギリギリで登校してくるくせに、私よりも早くきてその上顔面をゴテゴテに飾っているなんて、明日は台風でもくるのだろうか。


少なくとも、私の知る彼女は不動のプレイガールで決して人前でメイクなどするような女ではなかった。



「まあね。昨日の夜、クラブで踊りまくってたらいつの間にか寝てたみたいで、余裕なかったのよ。そう言う望叶さんは今日も可愛い顔してるのね、私に分けてよ」



「私が可愛い顔してるのは当たり前だし、分ける訳がないでしょ」



「……けち」