「じゃあ、あたしを倉庫に連れて行ったときからあたしのことわかってたの?」


それは、あたしが1番に聞きたかったこと。

「分かってたよ」

その言葉に、あたしは目を見ひらいた。

「あたしを倉庫に置くのは、周りの暴走族から狙われないようにするためじゃなかったの?」

たしかに今考えればあたしは大河と仲良く?していただけだし、それ以外の人とは関わってない。

「それも……あるよ」

それも、とは本命の理由があるってことだろう。

漣と幼なじみと言われても、漣と遊んだ記憶なんて思いつかない。

「1番は……ずっとお前が欲しかったから」

「お前は偶然に俺たちと出会ったんじゃない。」

あたしが今の宅に来たのは、引っ越すなら今のところへ行けとお父さんに言われたから。

「どういうこと?」

お父さんと、漣が繋がっているとか……?

「ただ、俺に回が回ってきただけだよ」

「それってどういう──」

「漣、麗薇花火用意できたよ!」

向こうから聞こえる千紘の声に、あたしは身を固くしながら答え、漣と共に戻った

「話はまたするから、今は忘れて花火、楽しもう」

後ろ髪を引かれながらも、引かれる腕に身を任せた。

「おーせよ」

それから、ロウソクに火をつけた。

独特の音と、鮮やかな色、それから煙たい煙。

「キレイ……」

緑やピンクや黄色など、色んないろに変わっていくあたしがもつ花火は見ていてちっとも飽きない。

「……なに?」

こちらをみたいた遙真に柔らかく微笑みかけると、目をそらされてしまった。




あたしと漣が幼なじみ、か。

一般的な人達は、自分の愛する恋人が幼なじみと知ったら嬉しいだろうか。別にどうでもいいというひともいるだろうし、それこそ気にする人だっている。

あたしは後者の気にするタイプだ。

漣は、昔のあたしを知っているのかな。

あたしと漣、琉、イマミヤ、それから雫雲とかいうひとも幼なじみらしい。

なんの繋がりがあっての幼なじみなのか、いつからなのかどれぐらい中がよかったのか。なんであたしは記憶を消してしまったのか。

聞きたいことは沢山あるのに、1歩踏み出す勇気がたりない。