辺りが騒がしくなってきて、あたしはまつ毛を震わす。

最初に、爽やかだけどすこし甘いあたしの嫌いじゃない匂いが鼻を擽った。

ゆっくりと、目を開けた。

「あ、麗薇。

やっと起きたねー!」

茶髪くんがに微笑む。

「あ、保健室の?」

え、でも。

纏う雰囲気が全然違う。

「あれ?ドッペルゲンガー?」

あたしは首を捻る。

顔は確かにあの人なのに、全然別人にみえる。

「ザーんねーん!保健室での人は僕じゃなくて千紘だよ?」

…千紘?

と、あたしは声を漏らす。

彼は向こうにいる人を指さす。

そこにいたのは、茶髪くん。

「あれ、雰囲気が……

あ、もしかして双子?」

違和感の正体がやっとわかった。

「そうだよ。僕は水崎千鶴!よろしくねっ!」

語尾に星マークが着きそうなほど、明るい彼。

「千紘。よろしく。」

うーん。似てないなあ。…………雰囲気が。

「如月 漣斗。、」

あ、女子がキャーキャー言ってたのはこの人か。

確かに、イケメンだ。

少し焼けた小麦色の肌は、スキンケアなんていらないキメの細かい肌。

鼻筋の通った鼻は顔の中心をつくる。

こっちを見つめる真っ黒の瞳は大きくて、切れ目。

その目を守るまつ毛は頬に陰をつける。

そして、横に並びたくなんてないほどの小顔。

180以上あるだろう、身長。

低く、甘い声。

これは、モテて当然だろうな。

「麗薇、見惚れてんの?」

大河があたしをからかう。

「そうなわけないでしょー、」

適当に返すと、あたし達から離れたところに人がいるのがわかった。

こっちも黒髪だ。

でも、肌を刺すような冷たさがある。

……あたし系が嫌いなんだろうな。

そう思い、視線をすこしだけ送る。

「あ、あいつは夜久遙真。女嫌いなんだよ。」

大河がすかさずしょうかいする。

すると、遙真はそっぽを向いた。

「俺たちは、桜龍だよ。」

誰かの言葉が聞こえた。