叫んだあたしを、周りにいたみんながえ、という顔で見る。

それから笑い声が聞こえたかと思うと、電話はプツリと消えた。

駆け巡っていく、苦しい過去の記憶。

思い出したくなくて、必死に蓋をしていた。

いっそ、消すことができれば楽なのにそんなことをできるはずがない。

”愛して”と懇願していたことを彼らは知っていた。

だから、『愛していない』とか、『嫌い』とか。

あたしを傷つけることばばかりいったのだと思う。

止まることを知らない涙は、どんどん落ちてスカートの色をぼやけさせる。

過呼吸になった息はどんどん切れていく。

酸素が回らなくて、クラクラする。

そう、まるで屋上でフラバした時みたいに。

そんなあたしを見て苦しそうな顔をした漣があたしのほうによってきて、背中と膝の裏に手を回した。

世でいう、『お姫様抱っこ』だ。

「……やだっ!触らないでっ、離して!」

頭のなかで恐怖に侵されている今、どんなひとの温もりも分からない。

誰があたしを抱きしめているのか。

それさえも、あたしには分からなかった、

まるで、ホワイトアウトみたいに前が見えないみたいな。

そんな感じたった。