「遅いな」 日が変わったというのに、今井律が帰って来ない。 メールで遅くなると連絡は来た。 だが私は眠れずにいた。 昨日、あれからあの人と眠ったら、あの悪夢を見ずに朝まで眠れたから。 だから早く帰ってきて………… 『カチャン』 静かな部屋に響いた、控えめに扉の閉まる音。 私は玄関に走る。 「律、起きて待っててくれた?」 出迎えた私に満面の笑みで言う今井律。 でも今は強がれない。 それくらい、私はあの悪夢を怖れている。