「……別に一週間分あれば充分だし、メイクする意味が分からない」

私には見せたい男なんていないもの。

「あはは!やっぱり律って面白い!」

私の返答に今日もお腹を抱えて笑い出す今井律。

「でも律は目鼻立ちもハッキリしてるし、睫毛も長いし、メイクなんて要らないな。スタイルも良いから何着ても似合うよ」

臭い台詞。
そして私を誘いたいのか、自信有り気な艶やかな顔をして瞳を覗いてくる。

「ちゃんと前を向いて運転しないと事故るわよ?それより家何処?」

「駅前だからすぐ着くよ」


その車に乗せられてから数分後に今井律の車が入ったのは、


「何、このマンション……」

見上げても何階まであるか正確に数えられなさそうな駅前に堂々と聳え立つ高層マンションの駐車場。
住所をじっくり見たわけじゃ無かったから、こんな凄いマンションに住んでいるなんて知らなかった。

高級車に高層マンション……