「冗談はさておき」

睨んでいると今井律が今度は真顔で口を開く。

本当に冗談かよ。


「ここは絶対に危険だ。またアイツが来るかもしれない」

その言葉に恐怖が這い上がったせいで肩を竦めてしまう。


「その反応したんなら、絶対この家はダメだ」

私の反応に気付いた今井律が言った。


でも頼れる友人も居ない。

でも此所には居たくない。

でも、名前しか知らない男の所に行くのは……


「男の俺は無理?それなら実家に送り届ける」

「……実家は遠いの。貴方の家に行く」


実家に帰るくらいなら、貴方の家に行く方がマシ。