私は驚いて今井律を見る。

「この家狭いけど、良いな」

笑みを携えた瞳と目が合った。

「ホラ」

そして私の方へと伸びる手。

妖艶な瞳で私を覗きこむ。

「手を伸ばせば、すぐ届く」

この男は、いつも自信しかないからこんな強気な目をしてるのか。


バシッ!


「いて!」

頬に触れる寸前、叩き落としてやった。

今井律は叩いた手の甲を「暴力反対」と言いながら擦っている。

この男は本当に油断ならない。