「いや、だからって交際すっ飛ばして結婚はないです。私は運命なんて思わないです」

「女の子って何でも運命に繋げたがるのに、律は繋げないんだね」

「はい。それに私達が結婚したら面倒ですよ。葉書はどちら宛かも分からないし、病院でも分からないし」

「あはは!そうだね!」

口を大きく開けて楽しそうに笑う男。

何がそんなに楽しいんだ。


「あの彼女、迷惑してます」

隣から声が聞こえてきて康介の存在を再び思い出す。

突然現れたこの男の迫力とぶっ飛び具合が凄すぎて、康介の存在を忘れてしまっていた。
ありがと、助け舟を送ってくれて。

「君は?」

男は私にはニコニコしていたのに突然目を細めて不機嫌な顔つきに。

「律の同級生でバイト仲間ですけど」

「ただの同級生の連れは黙っててくれない?」

先程とは一八〇度違う態度に意表を突かれて驚いたのか、康介は固まってしまった。
簡単に撃沈。