「じゃあ面白いこともなく憂鬱な一週間だったな」

あ。
その言葉に頭にぽんと浮かんだのはあの人。

「病院で今井律に会った」

「どゆこと?」

意味が分からなかったのだろう、康介が訊き返した。

「今井律さん」

そこに突然割り込んできた低い声。
名前を呼ばれたことに驚いて振り向くと、そこにはコーヒーを持ってピシッとスーツを着こなした男性が立っていた。


この人、知らない……いや、知っている……?

この切れ長の目と瞳、見たことある……?

あ、このビー玉みたいな透き通った茶色い瞳ってーー


「俺だよ、今井律」

そこに彼は笑顔で自分を指差しながら違和感を払拭する言葉をくれた。

「あぁ!」

口からはスッキリして思わず大きな声が出た。