久々に入った進学と同時にこの人が用意した1LDKのマンション。
父は私の手首を掴んだまま歩く速度を緩めることなくリビングへ。

扉を開けるとそこは温かい空気が充満している。


「エアコンが付けっぱなし……これで住んでる素振りをみせてたわけか」

そう呟きながらリビングを素通りして寝室に。

一直線にベッドに向かうとそこに倒された。

そして父もベッドに膝を乗せた。

ギシリとベッドのスプリングが鳴ると、身体中には悪寒が走る。

その音は昔から私には恐怖の音でしかなくて、覚えていたくなくても耳にこびりついてしまっている。

暗闇でずっと鳴り響いていた音だから。

そのせいで暗闇も苦手になった。

最近は心地好い音だったはずなのに……


「律は出会った頃から俺を青い鳥だと言って、ずっと従順だな」