「今井さん、二人きりにさせてくれないか?」

突然父が彼に言った。


「……分かりました」

他人に傲慢なほどの態度をする彼が静かに返す。

そして私の隣から消えようとする。

行かないで!

急いで振り返るが、私の願いは空しく律さんは扉から出て行ってしまった。


父と二人きりは久しぶり。

逃げ出したい衝動しか襲ってこない。

私は視線だけでも父から逃げる。

逃げた先の足はカタカタ震えている。


「律、あんな従順だったのに何で逃げたわけ?」

「……」

「帰るぞ」

「……」