「あー……家帰りたい……イチャつきたい……」
「貴方が誘ったんでしょ」
次の日の昼、目的のレストランの入り口でバカなことを言い出す男。
私は呆れてしまう。
「でもさ、律がスカートとヒール履いてるなんて初めてみたし、手を繋ぐのなんてあんまないし」
「じゃあこれっきりにするし、手を離して」
「そんなこと言うな」
繋がれている手を振り解こうとしたら、彼は私の手をグッと握った。
でもそれの方が有り難い。
このレストランが落ち着かない。
だって此処はあの家の近く。
私の気を逸らし続けて。
そう思いながら彼にエスコートされて店内に入るとウェイターがすぐに来て、個室の席に誘導された。
「久しぶり、律」
え。



