まだアナタは自分を大切にできていますか?

ずっと傍にいれなくて ごめんね?

最後に何も……伝えれなくて…ごめんね

どんなに離れてもアナタとは同じホシで繋がっています

アナタが忘れてもアナタとの時間や温もりは覚えています

まだアナタが心のなかにひと欠片でも想ってくれていたなら いつかアナタを迎えに行きます……

そう書かれた茶色手紙に雫が落ち模様を作っていく。
キミからの手紙が届いたのは キミが去った翌日だった。
丁寧に書かれた文字をなぞりながら どんな気持ちで書いていたんだろうと思い馳せる。

キミからの手紙が届いていたポストに手紙も戻し 家から飛び出す。曇り空の下走る。友達や近所の人に声をかけられても聞こえてないかのようにひたすらに走る。
いつか授業で習った登場人物のように走る。

キミの家に向かって……。

まだキミがいると信じて 迷わず走る。息を切らせながら。こんなことなら体力つけとけばよかったと自分を責める。最後の曲がり角……そこを曲がればキミの家だ。



そこで目にしたのは«売地»と書かれた看板。家は変わらずそこにあるのに誰もいない。キミが…いない。

格子扉を掴み崩れ落ちる。もう……いないんだ。
「……っ」唇を噛み締め下を向くと汗と涙の雫が混じり合いながら地面に落ちてく。

「なんっで!!……いなく、ならないでっ…」
腕に力をいれたらカシャンと格子扉が鳴る。
「ひとりに……しないって、約束したじゃんっ」
ポツポツと雨が降り出す。まるでキミも泣いているみたいだ。
「約束した、のに……っ。一緒に…いようって」
雨は崩れ落ちた身体に降り続ける。格子扉を掴んでいた左腕からはらりと何か落ちる。
「っ!」
それはキミとお揃いのミサンガ。«誓い»としてお互いにつけたものだった。拾い上げぎゅっと掴み額に当てる。
「まだ…たくさん、一緒にしたいことあったのに」

そのままキミのいなくなった家の前で雨に打たれ続けた。