…と、言えるほど甘いものではなかった。 「奴」と出会ったのはいつだったのか、 そう、忘れもしないあの夏の日だ。 奴…いわゆる私の「敵」は、 突然の出会いだなんてロマンチックなもので表せるような男じゃなかった。 夏…… うん、奴は例えるなら「セミ」みたいな男だった。