「やばいやばい、時間過ぎちゃう」



慌ててパソコンの電源を落とすと、デスクの上に置かれていた荷物をまとめて鞄の中へと放り込む。



ついつい新しいプロジェクトの企画を考え始めたら時間の事を忘れてしまっていたせいで、



咲夜との約束は21時なのに。あと5分で21時になってしまう。




まばらにいる残業をしているメンバーに「お疲れ様です」と声をかけると、そのまま慌ててエレベーターへと乗り込んだ。




「5分で間に合うかな…でも歩いて5分くらいだったから走れば大丈夫だよね」



きっとこの約束に遅れたら咲夜はもの凄く怒るに違いない。咲夜の方が忙しいはずなのに…私が遅れたら…絶対にやばい。



せめてもの救いは会社から咲夜のマンションが近いという事。



もしかしたら咲夜の方も遅れてるかもしれないし。



そんな事を思いながらエレベーターが1階に到着すると同時に、スタートダッシュで走り出す。