その時、ノックもなく突然病室のドアが開いたと同時に「このヤロー梨華に何してる!?」と言って看護師に殴りかかろうとした失礼きわまりない人物は日本に居るはずのない小野田さんだった。

「なにするんですか!?」

看護師の反論にまるで聞く耳を持とうとして無い小野田さんは、頭に血が上っていたのだろう。

「小野田さんやめて!!」

私が慌ててナースコールを押すと、看護師が来てくれた。その場の危機を察知したのか、駆けつけた看護師は緊急コールを押した。すると警備員と数人の看護師が来て小野田さんを取り押さえた。

「その人部屋から追い出してください!」

私の言葉に小野田さんは驚いていた。

「梨華…おい梨華、どういうことだ!」

連れ出された小野田さんを心配してなのか、担当看護師に
「本当に追い出して良かったんですか?
お知り合いですよね?」と聞かれた。

分からない…

なぜ、彼がここにいるの…

彼が現れて驚いたけど
嬉しく思う自分がここに居る。

でもなぜ、彼は日本に居るのだろう…

「すいません…私の携帯から電話してくれますか?」

無理を言って、看護師さんに菱野専務へ電話を掛けて貰った。
すると菱野夫妻は直ぐに来てくれた。

「すまない…君に教えないで欲しいと頼まれていたが、土下座までされては…」

え!?
彼が私のために土下座を?