家業を継いだ長男の大和さん。
父親の代から勤める人たちを大切にしながら、自分の友人たちと会社を発展させている。

料理人になって実家の建設会社に建ててもらった木のぬくもり溢れるコテージ風の店舗でレストランを経営している次男の進さん。
経営はうまくいっていて地元の若者やフォレストハウジングを退職した古くからの社員だった年配の武さんとノリさん夫婦を雇用してとてもいいバランスで回っている。

「飲むか?」
社長の手には低アルコールの缶カクテル。

「いただきます」
一気に食べていたら感じていた恐ろしいほどの飢えは解消されていた。

あとはゆっくりいただくとしよう。

私はあまりアルコールに強くない。でも、飲むのが嫌いなわけじゃないからこの低アルコールくらいがちょうどいい。
グラスに空けてゆっくりとアルコールを体に入れていく。

「だいぶ生き返りましたよ。
あれ、社長まだほとんど食べてないじゃないですか。ダメですよ、ビールばっかり飲んじゃあ」

社長の前に置かれた取り皿はほとんど汚れていない。
仕方ないなあ。
取り皿を取り上げて彩りよく進さんの料理を盛り付けて社長の前に置いた。

「はい、しっかり食べて下さい。食事は健康の基本ですよー」

「今日の灯里に言われたくないが」

額を軽く小突かれる。
はははは。そーですけどね。