冷たいキスなら許さない

「そりゃそーですけどっ。会合ないのになんで私まで長野に連れ帰られてるんですか。私には厚木のアパートに部屋がありますけど、お忘れですか？それに車だってどうするんですか。私に明日電車で厚木に帰れと？」

「うるせぇ。明日は土曜だ。灯里はこの週末は俺んちで仕事。日曜夜に送ってやる」

は、はああー？

「何言ってんのよ、この暴君が」

先週に引き続き今週も私から週末を奪うつもりかっ。
いや、先週どころか、ここんとこ、こっちに戻らなかった週末なんてなかったぞ。

「私から休みを奪うなー！ブラック企業」

「従業員にはきちんと休みを与えている。その家族にも文句なんか言われたことないぞ」

うっ。
確かに福利厚生いいのよ、わが社は。
ん？いやいやいや。

「光さん、村上さん、大坪さんと私はもらってないし！」

「あいつらは経営側だろうが。だが、皆残業は多いが休みはどこかで調整してきちんと取っている」