「全く意味がわからない」

「そう?
過去の謝罪と未来のためなんだけど」

「過去はともかくとして、櫂の未来に私は関係ないんだからそのための謝罪って私に失礼じゃない」

信号が変わりゆっくりと発進させた。前方に大叔母さまの料亭が見えてきた。

「4年前の灯里への態度を謝りたかったのは本当だから。俺はずいぶん酷い男だったよ。灯里が言う通り今さらなんだけど。でも過去を清算しないと俺と灯里の未来が始まらないからな」

「今さらってわかってるならほっといてくれてよかったのに。なんなら顔を合わせた時に知らん顔してくれた方がありがたかったくらい。
謝罪ってそもそも自己満足でしょ?でも今さら私は櫂が未来に進むのを邪魔するつもりはないから。どうぞご自由に」

櫂の意味不明な言動に翻弄されている自分が嫌だ。