ゼネコンに勤める櫂は超多忙で会う回数は多くない。
私の部屋に来ることが多くて、たまに休日デートできるときは目いっぱいおしゃれをしたりした。

合鍵をもらってからは彼の帰りを彼の部屋で待つこともあった。
そうでもしないと忙しい彼に会えないから。


彼の部屋の本棚に並ぶ建築関係の本や写真集。
小説を読み飽きた私は待っている時間を建築関係の本を読むことにスイッチした。
なかなか帰ってこない彼を待つうちに何冊も読破して、1年が過ぎようとする頃には建築の基礎知識が頭に入ってしまっていて、今の私の仕事に活かされることになった。

まさかその時に得た知識がムダにならず活用されるとは思っていなかった。