これも彼女の計算なんだろうか。

黙って彼女を眺めていると、西倉恭香が口を開いた。

「ーー私、ストーカーだって疑われているんですね」
「そうじゃないんですか」
疑問ではなくそうですよね、と冷ややかに肯定の意味で返事をした。

「違う。--確かに4年前再会したときには櫂にしつこく迫ったと思うけど・・・。でも、この間のパーティーは本当に偶然なの。お友達から誘われてたまたま行っただけ。そこに櫂がいることもあなたがいることも知らなかったのよ。本当よ」

「それを信じるか信じないかの判断は櫂がすることで、私には関係がないけれどーー。これ以上櫂を困らせたり苦しめるのはやめてもらえませんか」

「そんなつもりはないの」
弱々しい声の返事にイラッとする。

「それにどうして私を待ち伏せしているんですか。これって偶然じゃないでしょ?これがストーカー行為とどう違うと?」

私の言葉に西倉恭香は顔色を失った。

「そう・・・そうよね。うちの弁護士に勝手に接触するなって言われたわ」
「わかってるならどうして。それにどうやって私がここに居るって知ったんですか」
「それはーー」
痛い所を突かれたのか持っていたハンカチをギュッと握りしめて私の視線をそらした。