「お前、何言ってんだ。何でこんな時にカオリの名前が出るのかわけわからん」
そこで社長がハッとした。
「---灯里が勘違いしてる相手はカオリか」
社長が納得したという風に軽く頷き、がっくりと肩を落とした。

「お前、前から時々わけわかんないこと聞いてきてたもんな。”彼女との仲はどうなってますか”とか言って。俺とお前の話なのに何で俺に聞いてくるんだって思ったけど、そう言う事か」

へ?!

「カオリは幼なじみだよ。バツイチで息子を連れて出戻ったけど、両親とうまくいかなくて実家を出たいって相談されて。俺の持ってるアパートの空き部屋に入居させてやったんだ。それだけだけどカオリが何?何で俺と関係があるって思ってるんだよ」

「でっ、でも、電話で呼び出されてとんで行ったりとかしてたしーー」

「そんな事あったかな?」うーんと首をひねる社長に
「飲み会の最中に電話があって・・・」と言っても首をひねるばかり。

「ダイスケがって」
「ああ、そんなことあったな」と息を吐いた。

「カオリの息子のダイスケが高熱出して、夜間救急に連れていきたいけど車検中で車がないし、元ダンナにも連絡つかないってキレてて。ほっとくとアパートの部屋壊されそうだから慌ててタクシーを呼んでアパートに行って救急病院に連れてっただけ」

だけ?だけって・・・。