冷たいキスなら許さない

好きだって?私のこと好きだって言った?

「ヘタレ野郎は自覚してる。けど、お前のことは誰にも渡せない。このままずっと俺の側にいろ」

「ーーーウソだ」私の口からかすれた声が漏れた。

「嘘じゃない」

「そんなの信じられるはずがない」
何を言ってんの。この4年この暴君の側にいて私たちがそんな雰囲気になったことはない。
それにカオリさんはどうした。
時機を見てプロポーズするんじゃなかったの?

「俺、あの夜桐山と灯里がキスするのを見て腹が立った。無性に腹が立った。お前は俺のなのにあいつが簡単に灯里に触れていた。
その後、腹いせにキスしたことはーーー少しだけ反省してる。あんな風にキスするべきじゃなかったな」
背中に回された腕に一層力が入る。

「灯里にどう謝ろうかと思っていたところにお袋たちに見つかってあの騒ぎだ。でも、これを利用しようと思った。お前に俺のことを意識させるいいチャンスじゃないかって」