やばい、涙が零れそう。
慌てて上を向き鼻から息を吸うと小さくずずっと湿った音がした。
焦ってももう遅い。私の仕草とその音で泣きそうになっているのが下北さんにバレてしまった。
「うわあ、ちょ・・ちょっと灯里さん、泣いてる?」
泣いてるかと聞かれて泣いてますといえるほど素直にはできていない。それに泣いていることも見られたくないし、知られたくない。
「泣いてません」背中を向けてポケットに入れたハンカチを取り出しあふれ出た涙をぐいっと拭う。涙の痕跡を消し去りたいけれど、それは無理だろう。
だって次々と溢れてくるから。
”まずい”と背後で下北さんが慌てている気配がする。
そのうちに「おい、お前、今どこにいるんだよ。いいからさっさと来い。灯里さん、まずいことになった。--緊急事態だって」と誰かと電話をしている様子。
でも、その間も私の目からは涙が出てくる。しゃくりあげるようなことにはならないものの溢れてくるのだ。
「下北さ・・ん、大丈夫なんでーーデスクに戻っ、てくださ・・い」
背中を向けたまま声を出し、出て行って欲しいと伝えた。
もう、私も抑える自信がない。
「ねえ、その涙って何に対してなの?」
でも、出て行くどころかその場にとどまって質問までしてくる。そんなこと今聞かないでよ。
慌てて上を向き鼻から息を吸うと小さくずずっと湿った音がした。
焦ってももう遅い。私の仕草とその音で泣きそうになっているのが下北さんにバレてしまった。
「うわあ、ちょ・・ちょっと灯里さん、泣いてる?」
泣いてるかと聞かれて泣いてますといえるほど素直にはできていない。それに泣いていることも見られたくないし、知られたくない。
「泣いてません」背中を向けてポケットに入れたハンカチを取り出しあふれ出た涙をぐいっと拭う。涙の痕跡を消し去りたいけれど、それは無理だろう。
だって次々と溢れてくるから。
”まずい”と背後で下北さんが慌てている気配がする。
そのうちに「おい、お前、今どこにいるんだよ。いいからさっさと来い。灯里さん、まずいことになった。--緊急事態だって」と誰かと電話をしている様子。
でも、その間も私の目からは涙が出てくる。しゃくりあげるようなことにはならないものの溢れてくるのだ。
「下北さ・・ん、大丈夫なんでーーデスクに戻っ、てくださ・・い」
背中を向けたまま声を出し、出て行って欲しいと伝えた。
もう、私も抑える自信がない。
「ねえ、その涙って何に対してなの?」
でも、出て行くどころかその場にとどまって質問までしてくる。そんなこと今聞かないでよ。



