「ねえ、声、泣きそうだよ?気が付いてる?そんなんでよく身を引くとか言ってるよね」
エリちゃんが少し強い口調になる。

「いい機会だから言うけど。ホントのところ、お義兄さんのことどう思ってるの?偽恋人って言うけど、そんなこと言ってるの灯里ちゃんだけだし。みんな二人のことはいい雰囲気だって思ってるんだから。だいたい、お義兄さんの好きな女って何よ。誰?お義兄さんの家に出入りしてんのは灯里ちゃんだけじゃないの」

「え?」
あの女性のことは自宅に招いていないのだろうか?
それともエリちゃんが知らないだけでーーー。

「灯里ちゃんだってもう恋なんてしないって言ってるけど、本当にそれでいいの?お義父さん、お義母さんには連絡してあげるけど、ちゃんと自分の気持ちとか将来のこととかお義兄さんのこととか考えてみないとダメな時期に来たんだと思うよ」

「エリちゃん、何言って・・・」
「灯里ちゃん。---おい、今夜はそのへんでやめとけ」
更に何か言おうとしたエリちゃんの声が進さんに変わる。