「ふーん。で、兄貴とどういう状況なの?プロポーズはまだなんでしょ?」

「は?プロポーズどころか何もありませんって。あのままですよ。ドラマで言うところの恋人(仮)みたいな偽恋人のまんまです」

「うん?でもそれってもともとでしょ。親父たちにはそう言ってなかったの?」

「言ってありましたけど」
縁談除けにあちこち私を連れ歩くし、そんな噂もわざと立てるけれど本当のことではないと伝えてあった。

「じゃあどうして今になって親父たちいきなり勘違いして話が進んだの」

うっ。
そこ核心部分ですね。
これ言わないと理解してもらえないだろうしーーー

「ま、それなんですけどーー今朝、一緒に寝ているところをお母さんに見られてしまって・・・」
「誰と誰が寝てたって?」

「社長と‥‥私が」

「おおーやったじゃん。一歩前進?いや大跳躍」
電話の向こうできゃーと言う歓声と拍手が聞こえる。

「だから、そういうんじゃなくて。ーーエリちゃんそこにいるんですか?」

「うん、耳をくっつけてここに居る。代わる?」