「おい、おい。社長は?大和さんは何してたんだよ」

「社長は悪くないです。たまたま化粧室に行って社長と離れたタイミングだったんで」
さすがに西倉恭香の話はできない。

「助けてもらったのがイースト設計の人だったんで話が大きくなっちゃったんじゃないかと思うんですよね」

うーん、と小城さんが唸る。

「今支社はその昨日の処理に追われてるって思うんだな?」
「--それしか思い当たることないんですよね」

「うーん、でもなぁ。下北さん、そんなネガティブな感じじゃなかったんだよなぁ」
首をかしげるけれど、ここで結論が出るわけでもなし。

「灯里ちゃんが外部に連絡を取らないようにっていうよりも、外部から連絡が来ないようにしたいのかな。ま、とにかくスマホの電源落としてデスクに置いといて」

訳がわからないけれど、下北さんの指示に従うほかない私たちは頷き合って事務室に戻った。