「あ、いいの、そういうのいいから。何があったのか教えなさい。このハウジングセンターの責任者僕だし。ここで社長秘書を預かるのなら理由を聞く権利あるでしょ」

「だから、私も何でここに軟禁なのかわからないんですってば。出勤途中に司法書士の事務所直行って言われて今朝は支社にまだ顔出してませんから」

「え?マジで?」
「マジです」

ここに軟禁される理由を知りたいのはこっちなんですけど。
むうっと唇を尖らせると、くくくっと小城さんに笑われた。

「その顔、久しぶりに見たよ。あっちで灯里ちゃんが社長とやり合ってる時にはよく見たけど、こっちじゃキレイに済ました社長秘書の顔しか見てなかったからさ」

「お、お見苦しいものをーー」
思わず素が出てしまった。

「あー、それとさ。灯里ちゃんのスマホ出して」
目の前に右手が出される。
「スマホですか?」

「うん、僕にスマホを預けるか、目の前で電源切って見えるところに置くか。どっちがいい?」
「まさか」
「そうなんだ、それも下北さんの指示」