「いやね、新発田建設の社長から聞いてた長野の話もそうなんだけど、厚木の総合住宅展示場に最近綺麗な子がいるって聞いて。よくよく聞いたらそれがフォレストハウジングの社長秘書さんでしばらくこっちにいるっていうじゃない。だから図々しくも同席をお願いしてしまって。
こういうとセクハラみたいだよね。本当に申し訳ない。下心とかは決してないのでそこは安心して下さい」

セクハラねぇ。

綺麗な奥さんである副社長を隣に置いてセクハラする人でもなさそうだし、そこは心配しなくてよさそうだけど、性的な意味じゃなくて何か私に興味があるのだけは間違いない。

「ええ、彼女はプライベートでも私の大事な女性でもありますので」
大和社長が東山氏から私に視線を向けて甘い特別な笑みを浮かべる。

うおっ。甘っ。

そっか、そうでした。対外的に私は社長・・じゃなくて大和さんの恋人。ここでもそれをしろってことね。

「ハイ」ニコッと甘い笑みを社長に返した。

それより問題は東山氏の奥さまの隣にいる櫂でしょ。
櫂からの視線を時折感じるものの今のところ彼は飲み物の手配などしていて会話に入ってくる様子はない。