イースト設計からは東山氏と奥様である副社長、それと櫂が来ていた。

型通りの挨拶と名刺交換が済むと、
「どうしてもフォレストハウジングの社長秘書さんにお会いしたくて同席をとお願いしまして。
森社長の大切な人だということは新発田建設の社長からも聞いてますが、あまりにも新発田が長野イチ綺麗で優秀な子だというし、長野でも評判の社長秘書さんだって聞いてね、夫婦共々どうにもその秘書さんに会ってみたくなってしまって。
森社長の気分を害してしまっていたら申し訳ない」
と東山氏が爽やかな笑顔で言い出して構えていた私は拍子抜けしてしまった。

私の同席は櫂の希望ではなく東山氏の申し出だったとは。
隣に座る東山氏の奥さまも柔らかな笑顔で私を見つめている。

「綺麗かどうかの判断は個人差ですが、確かにうちの秘書の本木は優秀で新発田社長のお気に入りでありますね」
大和社長が苦笑しながら私の顔を見て「なぁ」とにこりと笑う。

その言い方。
綺麗は言いすぎですよとでも言いたいのかこのヤロウと心の中で思いながら
「新発田建設の社長ご夫妻にはいつも大変お世話になっております」と笑顔で返す。