「あなたね、うちの会社に失礼だと思わないの?発注ってあなたの大叔母様のところの工事だっていうじゃないの。仕事を恵んであなたの過去の償いをするってこと?冗談じゃないわ。うちの会社をバカにしないで」

「待って、灯里。バカにしてるのは君の方じゃないのか?」
「な、何言って」

「僕はさっきも言ったように君の会社を含めて何社かを提案した。キミの会社に決めたのはうちの東山だし、そこには贔屓も邪念もない。それでも、自分がいるからフォレストハウジングに決まったと灯里がいうのは君が自分の会社の実力を信じてないからじゃないのか?」

「そ、そんなこと」

「そういうことだろ。首都圏での実績は足りないけれど、フォレストハウジングはいい仕事をする会社だ。自信があるのならなぜ疑う」

「でも、じゃあ施主さんの意向だっていうのはどう説明するのよ。あなたの大叔母さまはこの業界に詳しいってこと?それこそ地元の名士がぽっとでの田舎の建築会社に依頼するなんてあなたと私のことが絡んでないとは言い切れないはずよ。あなたの大叔母さまはあなたにお仕置きをするって言ったのよ?そういうことでしょ」

「え?お仕置きって吉乃さんがそんなこと言ったのか?」

「ええ。あの日確かにそう言った。私に代わって自分がお仕置きをするって」