その長いまつげを分けて…なんて思ってたら愛香が思い出したようにこう言った。



「そういえばさ、うちのクラスにあいついるらしいじゃん」



「あいつ…?」


あいつなんて名前の人いたかな?
去年は自分のクラスの人を覚えて馴染むので精一杯だったから、他クラスまで覚えてないし…。



「水瀬 律だってば」


あ、あいつってあいつね。
でも当たり前のように名前を言われたところで、わたしの頭には何も浮かんでこない。




「ん?誰だっけその人」




わたしがこう答えると、愛香は大げさすぎるほど驚いた顔をした。
…ちょっとうざいよ、その顔。




「入学した時から有名じゃん。顔も良くて頭もよくてスポーツ万能…天は二物を与えずって言葉は嘘ね」




んー…クラスの女子が騒いでたような気がする。
噂話に弱いから、完全に遅れてるじゃん。
よし、今日じっくり顔を見てやろう(何様)