教室を出た途端、彼の血の匂いがした。
うつむいていた顔を思わず上げるほど魅力的な匂いだった。
思わず、喉がなる。でも我慢しなくちゃ。
「藤咲さんって下の名前なんて言うの?」
そう言って彼は振り向いた。
顔を上げていた私は彼と目が合ってしまった。
「その目、どうしたの?」
────────やばい。
とりあえず何でもいい、誤魔化さなきゃ
「えっと...さっき擦ったからかな?」
「でも、黒目のとこだよ?」
何か他に誤魔化す策を考えなきゃ────
そんな風に考えてると保健室に着いた。
「じゃあ、連れてきてくれてありがとう。」
これで教室に行ってくれれば終わりだ。
「話、まだ終わってないよね?
話したくなさそうだし、何かあるんじゃないの?話してくれない?」
さっきからずっと、彼の血の匂いがあったから吸血衝動が抑えきれなくなっていた。
────────────彼の血の吸いたい