桜が舞う四月ー

私は高校生になった。




人間社会で生きるには知識がいるから。





ダルい入学式を終えて、教室に入った。

でも、調子がおかしい。






────血を吸いたい

いつもより吸血衝動がおかしい。


こんなに血を吸いたいのは初めてだった。

いつもは一日一回、ちゃんとした経由で買ってる血を夜に飲めばなんともないのに。


二日くらい飲んでないんじゃないかって程に喉が渇く。

私はいつもカッターを持ってる。喉が渇いた時に自分を切って血を吸えば一時的に収まるから。もちろん今日も。

保健室に行くか? いや、初日で目立つのは嫌だ。
そんなことをうつむきながら考えてた。


────────そんな時だった。


「大丈夫?」

透き通るような声だった。
前の席の茶髪で整った顔をした男子だった。

座席表を見ると、東村 洸 と書いてあった。

「保健室に行く?
えっと...藤咲さん?」


────やばい
私は吸血衝動が起こると目が赤くなる。

遠距離だとバレないが、近距離だとバレる。
ここで誘いを断ったらうつむくのを辞めなければいけなくなる。
となると、誘いを受けた方がいい

「うん。行ってくるね。ありがとう。」

そう言い、席を立った時

「何かあったら大変だし、ついてくよ」


ついてこられて、吸血してるとこ見られたらそれこそやばい。

「大丈夫だよ。保健室行くだけだし。」

「先生の話長そうだし、サボらせてよ。」

面倒だ。すごく。さっきと同様、断ると不自然だ。早退させてもらえれば大丈夫か。

「じゃあ、お願いしていい?」

「それじゃあ、行こうか。」

私は彼の後ろをついて行った。