そんなこんなで春休みが過ぎて行き、あの男の子は私の中で幻となっていた。



「それではまた明日、バイバイ!」


裕太君、また明日ね…


別れを惜しんでると明日のことを思い出した。



そういえば明日は高校の入学式。


夢の高校生活が始まる日。


私はワクワクしてすぐには寝ることはできなかった。







入学式当日の朝。








高校生活が近づく中、私は9時00分から始まる高校の入学式に向けてワクワクしながら準備をしていた。


黒い制服に赤のミニスカート。スマホ持ってきていいし、お菓子も持ってきていい。



もうザ、高校生じゃん!


そんな高校生活を妄想していると、親友の佐々倉愛梨(ささくらあいり)から電話がかかってきた。


愛梨は頭が良く、トップクラスの高校だって入れたはず。


なのに幼稚園からの親友の私と一緒にいたいという理由だけで、私と同じ高校を受けたのだ。


愛梨本当大好き。


だから私立高校の受験に落ちた時、愛梨にどんな顔して会えばいいのか悩んでいた。


でも、結果的に公立高校の方が受かって愛梨も無論合格だったから、同じ高校に行くことができた。


私は鞄の中に入れていたスマホを取り出し愛梨に話しかけた。


「もしもし愛梨?」


「あ、南おはよう。今日さ○○駅のコンビニのところで8時に待ち合わせしようよ。それと、あのキーホルダーつけて来てよね。卒業式南忘れたからね。」



「笑笑、おはよう愛梨、キーホルダーもちろん付けてくるよ。」



「本当?笑笑よろしくよ。じゃあ、また後で。」



「うん、バーイ」


いつもの会話でいつもの関係。
私はこうゆう愛梨が大好きだ。


お互い、気を使わない関係が1番いいらしく愛梨も愛梨でいいらしい。


キーホルダーとは、私たちが中学生の時に買ったお揃いのハート型の鏡のことだ。


卒業式の時に付けてくるのを忘れて、愛梨に呆きられたのを今でも覚えている。



今回は忘れないように早めに付けとこーと。



「朝ご飯食べてー」



甲高い母さんの声が2階にまで響いた。