無事に教室に着くことができ、自分の席を確認した。



私の席はなんと良いことに窓際の1番後ろだ。



自分の名前に感謝。




だけど愛梨は1番前だから離れてしまった。



残念だなと思いながらも自分の席に着こうとすると、愛梨からの視線を感じた。



長年の付き合いだから分かる。



愛梨の方を見ると'前の席を見ろ'とでもいいたげな顔をしていた。



私は愛梨のところに行こうと見せかけて前の席の人を見た。



するとそこにはさっき助けてくれた男子がイヤホンをつけながら、窓の外を見ていた。



「へー、クラス一緒だったんだ。」



私は愛梨に言うと



「うっわ、最高。イケメン眺められるぞ。」



とまるで別人のように目が輝いていた。まだこやつは興奮してるぞ。



私が、



「私話しかけてくる。」



と言うと



「私も行く。」



と愛梨と一緒に話しかけに行くことになった。



「あのー、すみません。」



男子はこっちに気づくとイヤホンを外した。



「あ、さっきの。えっと…」




困っているなと思い、自己紹介しようとすると



「佐々倉愛梨!よろしく!!」



と、私よりも早く愛梨が出てきた。



おいおい愛梨、私まだ言ってないよ。



「了解、佐々倉さんね。よろしく。えっと…そっちは。」




「あ、私は山下南です。さっきはありがとうございました。」



やっと言えた。



「山下さんね。俺は、葉柳翔平(やはなぎしょうへい)。よろしく、なんだけどなんで敬語(笑)面白いね。」



笑われたんだけど。



でも確かに思えばずっと敬語だ。



同じ学年なのに。



アホーっていう顔で見てくる愛梨。



わかってるからそんな顔で見ないでよぉ…



私が顔を赤く染めると、



「ごめんって、冗談だよ。(笑)」



と翔平君から謝って来た。



「別に恥ずかしくなんかありません!」


「笑笑」



私がそう言うと翔平君は笑ってくる。



なんなのこの人?!



ふと愛梨を見るとニヤニヤしながらこっちを見ていた。



え、ちょっと、愛梨なんか誤解してない?



愛梨のところに行こうとすると、タイミング悪いことに先生が教室に入って来た。