この日は朝からBLUEへ行くことにした。
ここのカフェ本当に居心地が良くて
3日に1回のペースで通うようになって
今ではもうすっかり常連客になってしまっていた。


「あ、いらっしゃいませ。」


「おはようございます。」



このカフェにはイケメンの店員さんが居る。
最初は金髪で怖いなと思っていたけど、
いつも声を掛けてくれるので
今はそう思っていない。


「いつもので良いでしょうか?」


「え?」


「カフェラテ、ですよね?」



び、ビックリした!
まさか覚えてるの?お客様のメニューを?



「違ったらすみません、いつもカフェラテ頼まれているので…」


「カフェラテで合ってます。あの…凄いなと思って…!覚えてるの?」


「え?あぁ!常連のお客様のは大体覚えていますよ」


「だから、このカフェ人気なんですね!」




うっわー、笑うと可愛いー!
てゆーか、この子の頼むメニューは速攻覚えた!





「人気だなんて…光栄です。いつでも、ゆっくりしていって下さいね。」


「ありがとう!」











やっべぇー!やっとまともに話せたかも!
名前何て言うんだろう…?



そうだ、今日は夜も店開けるから誘ってみるか?














よし、今日の仕事も終わりー!
ブログ書くだけだけど。
朝からやると昼過ぎに終わるな~。







…………♪




「………。」



「海結、いい加減、もしもしぐらい言え!」


「……もしもし。」


「…遅ぇよ(笑)」


「どうしたの?」


「今日暇か?」


「…………暇じゃない。」


「何だその間は、絶対暇だろ。海連れていってやる」


「海ならもう見てるよ?」


「この間言っただろ?ほら、人が居ないとこだよ。」


「え、嫌だよ、何する気?」


「お前絶対変な勘違いしてんだろ?」


「してない。」


「今何処に居んの?」


「BLUEってカフェ」


「あー」


「?何?知らない?」


「んな訳ねぇーだろ!地元民だぞ!俺は!」


「そうなの?」


「今から行くから」


「え?」


「用意しとけよー!」


「は?え?ちょっと!!」





………えーーー。めっちゃ強引。
仕事終わってるから良いけどさぁー。
とりあえずお会計しておこう!













「あの、良かったら、夜にまた来て下さい!」



「夜?」


お会計をお願いしたら、
さっきのイケメン店員さんにそう言われた。


「たまにですけど、夜はここBarやってるんです。」


「へぇー、そうなんだ!」


「20時からなんで!ぜひ。」


「……分かりました!」



イケメンスマイル怖い…。圧倒されてしまった。
Barもやってるんだこのカフェ。
知らなかった!行ってみようかな?














「!?蒼眞さん?」


「?」


え?店員さん、この人と知り合いなの?



「この間ぶりだな。悪いけど、今日はすぐ出るわ。」



え、何かすっごい注目されてる…。
お客さんザワザワしてる…
入口付近に居る私まで巻き添えじゃん。
いやまぁ、この二人並んでると
そりゃあ見ちゃうよね…
それぐらい何か、オーラあるってゆーか…







「海結、行くぞ!」


「え、」


「は?」


手首を掴まれてそのまま店を出ることに…。
私まだ行くって言ってないんですけど!?





ちょっと待て、あの子蒼眞さんの知り合い?
てか下の名前で呼んでなかったか?
何かもやもやすんな…。
彼女とか?あーだったらマジで勝ち目無いよなー。
ハードすぎんだろ…。










「海結なに帰ろうとしてんの?暇じゃないって言ってなかったか?」


「暇じゃない!仕事があるの!」


「何の?」


「……言わない。」


「はいはい、嘘だろ。ほら、車乗って!」


「嘘じゃない!」


「少し距離あるから寝ても良いよ?」


「……寝ない。」


「何?警戒してんの?」


「別にそんなんじゃない。」


「ふーん。まぁどっちでも良いけど。」












寝ないって宣言したのに、
気付いたら寝てしまっていて、起こされた。



「海結ー、着いたけど?」


「え?わ!ちょっと!近い!」


「ヨダレ垂らしてたよ?」


「え?嘘でしょ!?」


「うん、嘘。」


「……最低」


「なんとでも?あぁ~寝顔は可愛かったのになー」


「な!?!?……見たの?」


「そりゃー見るでしょ!」



「……最悪だ…。」



「せっかく来たんだから、車から降りよ」



「……うん。」












「………ここだよ。」



「!!!」



「どうかした?そんなに驚いて?」


「いや、あの、別に……。」


「別にって…。まぁ良いけど。写真良いの?」


「!と、撮る!!」








蒼眞が連れてきてくれた海は、
本当に綺麗な場所だった。
ううん、それだけじゃない。
ここは、私がずっと探していた
小さい頃に見たあの海に似ている気がした……。